発症とその原因因子、カーブ進行と その原因因子

原因不明の病気を「特発性」と呼ぶわけですが、特発性側弯症の発症や進行にはなんらかの「遺伝子」が関係していることは研究により少しづつ解明されてきました。

思春期特発性側弯症では、発見された後に、「自然緩解する」「進行せずその状態で止まる」あるいは「進行し続ける」という3つのパターンがあることがわかっています。これには、1.発見時のコブ角の大きさ 2.リッサーサインの状況(お子さんの成長状況) 3.装具療法中の装着時間の長さ なども関係していることが医学データから判明しています。(詳細はブログStep by stepを参照) 

そしてもうひとつ原因因子として研究が進んでいるのが「遺伝子」による作用です。

図に示したのは、たったひとつの遺伝子が側弯症を引き起こしているのではなく、様々な要素・要因が関与している。ということを説明しようとしたものです。

世界のどの国の調査においても、人口のほぼ100人にひとりか、ふたりに思春期特発性側弯症は見つかります。でも、その子ども達が全て進行して、装具や手術が必要となるわけではありません。

Aさんは自然緩解したのに、どうしてBさんは進行を続けたのか? でもそのBさんも装具療法を骨成熟完了するまで毎日16時間続けたことで、25度のコブ角で装具を卒業できたのに、同様に16時間装着していたCさんでは、どうして急激にカーブが進行して手術を必要とすることになってしまったのか? 

そこに何らかの遺伝子(変異した遺伝子)が関係したことで「違い」が生じたのでは?   と考えるのが現代医学のひとつの方向性と言えると思います。

特発性側弯症の原因としては、遺伝子以外にも様々なことが研究されてきましたし、また現在も多くの研究が進められています。例えば、メラトニンの過不足が影響しているのでは? という研究があるわけですが、この場合も、因果関係あるいは相関関係として、次のような図式も想定することができます。

なんらかの原因で「メラトニン」の生成が不足 → (例えば生理不順に影響)  →  (例えば、このことが脊椎成長時の左右均衡性を乱すことにつながった )  →だから、性徴期から骨成熟完了(月経の安定)により、左右均衡性が正常に戻った →この時期まで装具で固定していたので、進行を抑制できて、その後は安定している。

上記に記載したのは、想像であって、医学事実ではありません。しかし、この A→B→C→Dというドミノ倒しのような現象が生物の体内では生じることがありえることが多くの研究により解明されてきているのが、現代科学と言えます。

そして、ここで注目していただきたいのは、ヒトの体内を構成する物質はすべからくヒトの持つ遺伝子が作用することで生成される(あるいは生成されない)という現象についてです。

私august03の立場「民間療法反対(側弯整体反対)」の視点から申し上げますと、

もしも側弯整体の体操や、シュロス体操と呼ばれる体操で「思春期特発性側弯症」が治療 (進行を止め、さらにはコブ角を減少させ、それが再発しない) できるとすれば、例えば100人の患者がいたとき、その100人は治る。ということを彼らは宣伝しているわけですが、それが事実ではないことは、皆さんもすでにご存じのとおりです。

私たちの目に見える表面上の変化は、脊柱が捩じれながら曲がっていく、という病態なわけですが、その根本的な「目には見えないレベル」で発生していることを想像しなければ、この病気を理解することはできず、イタズラに民間療法者のビジネスにからめとられてしまうことになります。

思春期特発性側弯症と一口で言っても、その状態は様々です。進行が止まらない人、いつの間にか正常な角度に戻った人、急激に進行する人、ゆっくりと少しづつ進行していく人。

そこには、たったひとつだけの原因ではなく、様々な要因・要素が関係している。と考えるのが自然です。

側弯症に限らず、多くの病気においてその発症原因における「遺伝子」についての研究が行われ、その結果を踏まえての治療方法の発見・発展へと進んでいるのが、現代医学です。

残念ながら、思春期特発性側弯症においては、まだその全容は解明できていませんが、私達は、「遺伝あるいは遺伝子」という切り口を恐れることなく、学び、そして、子ども達を見守り続けることが大切だと考えるのです。