病気になるのは遺伝? それとも環境?

2018年08月27日

日経メディカル 第12回 未来の自分を見にいく(その4) 病気になるのは遺伝?それとも環境? より引用  https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/david/201312/533596.html

グラフは、さまざまな疾患や障害に、遺伝要因環境要因がそれぞれどのくらい影響するかを示したものだ。こうやって数字の形でそれを見るのは実に刺激的で、日々の生活が、人生や健康にどれほど影響するかがうかがえる。中には、遺伝に大きく影響されるものもあるが、環境も、直接的にあるいは間接的にリスクに影響していることを覚えておいてほしい。 

環境は、食事や運動から汚染物質、ストレスに至るまで、重なり合う要因を伴っており、最終的には良くも悪くもあなたが受け継いだ遺伝子に影響を与え得る。グラフで「遺伝」と記したのは、遺伝的に受け継いだリスク要因であり、その疾患の原因遺伝子というわけではない。つまり、たとえば、肥満について言えば、33パーセントは環境要因で、67パーセントはリスクを増やす可能性のあるSNPsだが、それ自体が肥満を引き起こすわけではないのだ。遺伝子プロファイルによって肥満になるリスクが高いとわかっても、それがあなたの運命だというわけではない。環境面をコントロールすれば、生涯リスクを大幅に減らすことができる。
 この区別は重要である。なぜなら、先に述べたように、DNAと健康の話になると、あまりにも多くの人が運命論者的な見方をしてしまうからだ。環境の違いがすべてを決める場合もある。その「環境」には、文字通りの環境だけでなく、細胞レベルでの環境も含まれ、その微細な環境は、薬の効き方や、治療に対する反応に影響を及ぼす。


子宮環境が胎児(成長過程にある受精卵)に及ぼす影響は、それを如実に表している。この数十年間に行われた、胎児期に関する研究の多くは、その傷つきやすい時期に生涯の健康と病気の土台が築かれることを示唆する。今では、妊娠中の母親が太りすぎていると、子どもの糖尿病のリスクが増すこと、アルコールをよく飲むと、子どもの障害が誘発され得ること、子どもが低体重で生まれると、心血管疾患になるリスクが高くなることがわかっている。最近の研究では、妊娠と妊娠の「間」の子宮内環境さえ、胎児に影響することが明らかになった。
 2011年初頭、コロンビア大学の研究者は、第1子の誕生から12カ月以内に宿された第2子は、自閉症になるリスクが3倍以上高くなることを発見した。さらに、第1子の誕生後、12カ月から23カ月の間に宿された第2子さえ、3年後に宿された第2子に比べると、そのリスクは2倍高かった。栄養不足のせいなのか、生化学的な違いのせいなのかはわからないが、子宮内で次の妊娠に影響を及ぼす何かが起きているのだ。過去の研究でも、妊娠と妊娠の間隔の短さと、統合失調症などの精神疾患との関連が示されている。
 自閉症には遺伝と環境の数多くの要因が絡んでいるはずだが、この発見は、環境が遺伝子とは無関係に、多くの親を悲しませる結果をもたらすことを語っている。世界保健機関(WHO)は、健康な赤ちゃんを産むには、出産から次の妊娠まで24カ月空けることを推奨しているが、世界の多くの地域で、このアドバイスはほとんど無視されている。