癌遺伝(子)について

癌遺伝(子)については数多くの専門サイトがあります。step by stepで少しだけ触れたいのは、ときおりネット等で公表される「特発性側弯症と遺伝(子)」と、「癌の遺伝(子)」の違いに関してです。

この医学報告は2018年のもので、内容は米国で予防的乳房切除したアンジェリーナ・ジヨリーの例に類似していると思います。アンジェリーナの懸念は、「......細胞のがん化を防ぐがん抑制遺伝子「BRCA1」に生まれつき異常があり、何もしなければ87%の確率で乳がんに、50%の確率で卵巣がんになると診断されていた。ジョリーさんの母親は49歳で卵巣がんと診断され、乳がんも発症し、56歳で死亡。母方の祖母が卵巣がん、叔母も乳がんで死亡、彼女自身卵巣に初期のがんの兆候がみられたこともあって、今回、卵巣・卵管の予防手術に踏み切ったという....」 というものでした。

本報告では、53歳女性。既往歴-42歳時に卵巣嚢腫に対しての右卵管・子宮摘出手術。52歳時に左乳がんと診断された。悪性腫瘍の家族歴を複数有することから、遺伝カウンセリングを受けたうえで、遺伝子検査を施行し、BRCA1遺伝子変異を持つと診断された。院内倫理委員会の検討をへて、患者希望にもとづき右乳房・卵巣摘出手術を施行した。

医学的背景:乳がん全体のうち約5~10%程度が遺伝性乳がんであると言われている。その中でも頻度が最も高いのがHBOC  (BRCA1/2の遺伝子異常により高頻度で乳がん・卵巣がんを生じる常染色体優性遺伝疾患である。BRCA1に変異をもつ女性の乳がん発症は70歳までに39~87%、卵巣がんが39~46%。BRCA2に変異をもつ女性の乳がん発症は70歳までに26~91%、卵巣がんが12~20%と報告されている。

学会側の背景: 日本乳がん学会ガイドラインにより (1)診療科スタツフの遺伝医療に対する認識の普及、(2)遺伝カウンセリング担当スタッフの配置    (3)遺伝子BRCA1/2の遺伝学的検査の実施体制の完備  (4)マネジメント体制の充実 が求められている。

当該医療機関の状況: 当院遺伝子診断部は 2000年に開設され、受診患者および血縁者は年々増加している。医師、看護師、遺伝カウンセラー、研究員らの専任スタッフで形成されるチームでの日本乳がん学会ガイドラインに則ったマネジメント体制を敷いており、適切な情報提供と、個人の状況に合わせた医療の提供、さらに心理・社会的な支援を行っている。


☞ 癌に対する遺伝子レベル.....これは分子レベルという意味で「遺伝子」という用語を用いました......での研究はとても進んでおり、多くの場合、どの癌が「家族等における遺伝的要素」を持つ癌であるか、ということが、その「問題とされる遺伝子」も特定された形で数多くの研究、医学報告が蓄積されています。例えば「常染色体優性(顕性)遺伝」とは、両親から受け継いだ常染色体の遺伝子のうち、父母のどちらか一方が正常であっても、どちらかに異常があれば発症しうる遺伝病。つまり子どもに両親のうちどちらかから1個の変異遺伝子を受け取ると発症する。「常染色体優性(顕性)遺伝」は約2000種類以上が見つかっています。  

「常染色体劣性(潜性)遺伝」とは、両親から同じ変異した遺伝子をもらった場合だけ発症しうる遺伝病。つまり子どもに両親からそれぞれ1個づつの変異遺伝子が子どもに伝わり、2個の変異遺伝子が揃うことで発症。 両親は1個の変異遺伝子しか持っていないので、発症していない(この状態を保因者と言う)。 この遺伝病は約600種類ほどが発見されている。



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